幼保分野の外国人材活用制度の創設

目次

現状

近年、国内の人材不足への対応として、外国人労働者の受入れが着実に進み、在留外国人数も増加しています。こうした社会の変化は、労働力の確保に寄与するとともに、地域に多様な文化や価値観が共存する新たな環境をもたらしつつあります。その一方で、言語や文化等の違いにより、共生に向けた丁寧な取組や制度面での工夫が、これまで以上に求められている状況も見受けられます。

こうした中、相互理解を深めながら、誰もが安心して生活し、子どもを育てられる社会を実現するためには、現場の実情に即した仕組みづくりが必要であると考えております。特に幼児保育・教育分野(以下「幼保分野」)は、子どもたちの発達や地域社会の将来に直結する重要分野であり、多文化環境に適切に対応できる制度整備が急務となっています。

現在、特定技能制度では 16 分野が対象となっていますが、幼保分野は今後追加が見込まれる分野であり、これまでの制度運用の知見を踏まえつつ、より実効性の高い制度設計が可能です。本提案では、幼保分野における外国人人材の多様化に対応し、多様性を踏まえた保育現場の体制づくりに向け、建設的な制度整備をご提案するものです。

【提案骨子】

【提案骨子】

労働不足の状況は、保育園や幼稚園等の幼児保育・教育分野(以下、幼保分野といいます)においても深刻です。ことに、在日外国人の急増に伴う、外国籍の乳幼児・児童数著しく増加に対応するための体制構築が急務です。

当協議会、一般社団法人幼保分野人材育成協議会(以下「当協議会」といいます) は、 幼児保育・教育分野における人材不足の解消とそのための外国人人材の活用を行う機関として設立したものです。

幼保分野における外国人人材の活用の検討あたっては、単に「増加する外国人乳幼児の保育・教育を、日本人保育士だけでは担いきれないため、外国人人材を投入する」という対処療法的・ネガティブな視点ではなく、より前向きな捉え方が重要です。

外国籍乳幼児の増加は、わが国の子どもたちにとって、言語や文化の異なる「おともだち」が身近にいる環境で幼少期を過ごすことができる、非常に貴重な機会であり、このような環境は、国際感覚を自然に育む土壌となり、多文化共生のあり方を実体験として学ぶ絶好の機会ともなります。

このような観点から、 外国人幼保人材の確保は、単なる労働力補充ではなく、 日本の保育・教育の質を高めるための積極的な取り組みであると捉えることが重要です。こうした前向きな意識の醸成が、行政関係者の皆様はもとより、保育現場の保育士の方々、そして保護者の皆様を含めた地域社会全体に広がっていくことを、私たちは強く願っております。


平成 30 年の改正「保育所保育指針」では、「4 保育の実施に関して留意すべき事項」のうち、「(1) 保育全般に関わる配慮事項」において、

「子どもの国籍や文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるようにすること。」

と明記され、さらにその中で、

「保育士等は、それぞれの文化の多様性を尊重し、多文化共生の保育を進めていくことが求められる。」

とも記されています。すなわち、保育現場において多文化共生を推進する姿勢が、制度として正式に位置付けられたことになります。

当時は、まだ社会全体として十分な理解が得られる環境にはありませんでしたが、令和4年以降、日本においては就労を目的とした外国人の来日が急増し、 「多文化共生」は今や現実的かつ身近な変化となっています。

前述のとおり、私たちはこの変化を課題ではなく好機ととらえ、今こそ、 多文化共生のあるべき姿について再度見直し、将来に向け、より良い施策につなげていく時期に来ていると考えます。多文化共生を実現するためには、保育を担う保育者自身が、異文化に対する理解を深め、それを子どもたちに伝えるための知識・経験・語学力を有することが求められます。これは、保育士・幼稚園教諭に限らず、園に勤務するすべての職員に必要な資質となりつつあります。

このような背景の中、日本人保育士・教諭の語学力の向上に加え、他文化・他言語に通じた外国人スタッフの活用は不可欠であり、実際に保育現場において重要な役割を担う存在となっていくことが期待されます。そのためには、外国人人材が日本の保育士および幼稚園教諭の資格を取得し、実際に現場で活躍できるよう、制度面での環境整備が急務です。

しかしながら、現行制度では、保育士として働くことができる外国人は、「永住者」または「日本人の配偶者等」の在留資格を有する方に限定されており、 保育現場で実際に従事できる外国人の数は、きわめて限られています

よって今後は、保育士・幼稚園教諭の資格、あるいはそれと同等とみなされる新たな資格を取得した外国人の受け入れ人数を拡充すること、並びに、資格を有する外国人が実際に保育現場で働ける制度的・法的環境の整備が急務です。

そのためには、現在の在留資格の枠組みとは別に、 「保育」に特化した新たな在留資格の創設が不可欠であると、私たちは強く認識しております。

しかしながら、外国人が日本の保育士資格を取得するまでには、通常数年を要し、即戦力として保育現場に従事することが難しいのが現状です。

そこで私たちは、即戦力としての外国人材の受け入れを可能とする制度的枠組みとして、「特定技能(保育)」の追加新設を提案いたします。

「特定技能」制度

「特定技能」制度は、人手不足が深刻化し、業界全体で人材確保に努めているにもかかわらず、労働力が不足している分野において、外国人材の受け入れを可能とする制度です。すでに 16 の分野において導入されており、 法律の改正を伴うことなく、比較的柔軟かつ迅速な制度運用が可能であるという特徴があります。

さらに、 大学卒業資格を要件としないことから、より幅広い層の外国人材が対象となり、多様な人材の受け入れが期待できます。

保育分野においても、この制度を活用することにより、即戦力となる外国人材の受け入れが可能となり、急速に進行する多文化共生社会への対応力を高めるとともに、現場における人手不足の緩和にもつながると考えております。

「幼保」分野を特定技能職種に追加する効果

「幼保」分野が特定技能の対象職種として追加されることで、幼児教育・保育に関連する幅広い領域に対し、次のような大きな波及効果が期待されます。

  • 外国人人材の安定的な確保
    • 特定技能による安定した在留資格が付与されることで、幼保分野での就労を希望する外国人人材が増加し、外国人園児への保育補助や園運営の補助など、現場が抱える人手不足の解消につながります。
  • 教育機関における学修機会の拡大
    • 幼保分野で就労可能な在留資格の道筋が明確化されることにより、日本で保育士資格の取得を目指す留学生や外国籍人材が増加し、大学・短期大学の保育系学科への進学促進、ひいては当該学科の学生数増加が見込まれます。
  • 多言語保育体制の強化
    • 外国人保育士資格取得者が増えることで、慢性的に不足している保育士の確保が可能になるだけでなく、十分な日本語能力を有さない外国人乳幼児および保護者に対して母語を用いたきめ細かな支援が行えるようになり、質の高い多文化・多言語保育環境が整備されます。

特定技能(保育)の制度設計について

特定技能制度は、職種の種類を問わず、おおむね共通の手順および基準に基づき運用されており、今回提案する「特定技能(保育)」においても、既存の制度運用を踏まえたうえで、以下の 2 区分を想定しています。

■ 特定技能 1 号(保育)

本区分は、主に外国人乳幼児を対象とした母語・外国語による保育の提供および、 日本人保育士の補助業務に従事する人材を想定しています。

他分野の特定技能 1 号では、業務内容が比較的簡易な作業に限定され、日本語能力や専門知識の要件も限定的ですが、保育分野においては対象が発達途上にある乳幼児およびその保護者であるため、安全管理・衛生管理・事故予防(ヒヤリハット)への対応がすべての保育従事者に求められますので、 保育分野における特定技能 1 号の人材には、以下のようなより高度な資質・能力が求められます。

  • 安全確保に必要な日本語運用能力
  • 保育現場での臨機応変な対応力
  • アタッチメント理論など幼児心理への理解
これらを踏まえ、本制度における受入れ対象者は以下の条件を満たす者とします。
  • 海外の保育系大学等を卒業し、現地の保育資格を有する者、または
  • 日本の「子育て支援員」講習修了者で、かつ、以下の語学基準を満たす者
    • 来日後の日本の日常生活を営むに必要な日本語力を審査する日本語能力試験(JLPT)N3 以上
    • 幼児保育分野の日本語能力審査に特化した幼保日本語検定 3 級以上

「子育て支援員」講習は、保育士が不足している現状を打破するために国が平成 27 年に創設した認定制度で、自治体が行う所定の数日間の短期間研修を修了すると、小規模保育園や放課後児童クラブ(学童保育)などさまざまな子育てに関する職場で補助業務を行えるというもので、日本における保育実務の基本的な内容を学習できる初心者向け講習で、受講者の国籍、年齢、学歴を問われません。日本の保育園やインターナショナルプリスクールでの就職を希望する外国人の受講者希望も急増しています。

これらの要件を満たし、特定技能 1 号「保育」資格を取得した人材には、「保育サポーター」の呼称を付与し、雇用にあたっては施設運営費に対する加算金の対象とする制度設計を提案いたします。

なお、現行の「企業主導型保育事業」においては、「子育て支援員」の雇用に対して加算金が認められていますが、「認可保育園事業」では加算金制度が適用されておらず、これが支援員の採用が進まない要因の一つとなっています。その結果、 認可園における保育補助人材の慢性的な不足が顕在化しています。

本提案では、「保育サポーター」については園の種別(認可園・認可外園)を問わず、採用に伴う加算金の対象とすることで、より柔軟かつ実効的な受け入れ体制を構築いたします。

また、併せて「認可保育園における子育て支援員採用加算金制度の導入」についても、制度整備を検討すべき時期に来ていると考えます。

特定技能 1 号における保育分野の業務内容

特定技能 1 号の在留資格において、保育分野で従事する外国人材に求められる具体的な業務内容は、以下の通りです。これらの業務は、園児の健やかな発達と安全を支えるうえで重要な役割を担っており、多文化共生保育の実現にも大きく寄与するものです。

外国語でのコミュニケーション
1. 園児への外国語による指導および保護者との外国語でのコミュニケーション

英語などの外国語を用いた簡易な言語活動や、外国人保護者への連絡・説明の補助を行うことで、多言語環境における保育の質の向上に貢献します。

園児と関わる保育補助
2. 園児と直接関わる保育補助(園内活動・お着替え補助等)

主任保育士の指導のもと、園児の日常生活における支援(おむつ替え、食事介助、遊びの見守りなど)を通じて、安全かつ健やかな生活のサポートを行います。

園児と関わらない保育補助
3. 園児と直接関わらない保育補助(教材準備・PC 入力等)

保育記録の入力、教材・掲示物の作成補助、各種資料の整理など、保育環境の整備・充実を支える業務に従事します。

施設維持業務
4. 園内の美化・清掃、整理整頓等の施設維持業務

教室・トイレ・遊戯室などの清掃・消毒、備品の整理整頓などを通じて、子どもたちが安心して過ごせる清潔で安全な環境の維持に努めます。

調理・配膳補助
5. 調理・配膳補助

給食やおやつの簡易調理補助、配膳・片付けなどを行い、食育活動の支援を担います(※食品衛生管理基準に則った対応が必要です)。

園バス
6. 園バスの運転・点検・整備

園児の送迎にかかる運転業務や車両の点検・簡易な整備を通じて、 安全な通園環境の確保に寄与します(※日本国内の運転免許取得が前提条件です)。

安全管理等
7. 施設警備・通園路の安全管理等

登降園時の門前対応、園周辺や通園路の見守り、避難訓練への協力などを通じて、 園児の安全確保と事故防止に貢献します。

■ 特定技能 2号(保育)制度の構想について

特定技能 2 号(保育)の在留資格取得にあたっては、日本の保育士養成校における履修科目のうち、 「保育所保育」に該当しない科目を除外したコアカリキュラムの履修を完了することを条件とします。

本資格を有する外国人材は、 看護師と同様に「みなし保育士」として認定され、配置基準上の保育士数に算入される対象とし、 早番・遅番などのシフト勤務にも対応可能とします。さらに、 保育士配置加算金の対象とすることで、現場での即戦力としての活躍を期待します。

また、外国人が保育士養成校における全科目を修了し、 正式な保育士資格または幼稚園教諭免許を取得した場合については、在留資格としては引き続き「特定技能 2 号(保育)」を適用しつつ、呼称については、外国語運用能力を加味した区別として、「認定保育士」という名称を用いることを提案いたします。

なお、後述の通り、日本人保育士についても、外国語保育を習得した保育士についても、ワンランク上の保育士として、 「認定保育士」の呼称を付与し、加算金支給により、向上心と業務改善のモチベーションを高める施策とします。

呼称・職階制度の再設計について

現行制度においては、保育士資格を有する者は、 専門学校・短期大学・四年制大学等の出身にかかわらず、すべて「保育士」として一律に呼称されています。しかしながら、今回の特定技能制度の創設とあわせて、他の専門職資格と同様の職階制度を導入し、保育人材の多様性と専門性に応じた明確な処遇体系を整備することが求められると考えます。

制度設計における保育人材の職階区分(案)

呼称要件・背景
認定保育士保育士資格保有+高い外国語運用能力
1級保育士 四年制大学または専攻科卒業
2級保育士 専門学校または短期大学卒業または保育士試験合格者
みなし保育士 特定技能 2 号(保育)対象者
保育サポーター特定技能 1 号(保育)または子育て支援員

職階制度と、 職階に応じた加算給制度を組み合わせることで、保育現場におけるキャリアパスの明確化と、職員のモチベーション向上につながることが期待されます。

特定技能(保育)の運用と制度整備に向けた体制構築について

特定技能(保育)の運用は、既存の特定技能制度の枠組み内で実施されることになります。そのため、「保育」を特定技能の対象職種として追加するにあたっては、単に制度設計を行うだけでなく、以下のような包括的な環境整備と制度交渉が必要不可欠です。

  • 受入れ先支援団体・登録支援機関の設置と管理
  • 教育機関(養成校・日本語学校等)の体制整備
  • 検定試験の開発および運用体制の構築
  • 行政との継続的な制度交渉および連携
  • 保育分野に特化した「分野協議会」の新設とその機能確立

保育分野における「分野協議会」の構成と特徴

既存の特定技能制度における分野協議会は、主に就労支援を中心とした業界団体で構成されていますが、保育分野においてはその性質上、 人材養成機関の果たす役割が非常に大きいことが特徴です。

一般的な就労中心型の構成とは異なり、以下のような産学連携型の構成体制を構築いたします。

  • 保育士・子育て支援員等の養成校(大学・短期大学・専門学校)
  • 外国人材向けの日本語学校
  • 実習・就労を受け入れる保育施設・法人
  • 検定試験を実施・運営する専門団体

当協議会のグループ内には、 「幼保英語検定」及び「教職英語検定」を主催する一般社団法人語学検定協会(代表理事 百瀬義貴)があり、20 年に及ぶ保育・幼児教育分野に特化した英語検定実施を通じ、全国の保育士養成校及び保育事業者と広範なネットワークを有しています。

ネットワークの機動力を生かすと
  • 日本人保育士に対する英語力向上のための講習実施
  • 外国人保育人材の育成および支援(保育士、子育て支援員等)
  • 外国人向け保育関連講習の企画・運営
  • 保育現場で必要とされる外国語対応教材の開発と提供

の即時対応が可能であり、当協議会は、 「特定技能(保育)」の円滑な導入と制度的基盤の整備を担う中核的団体としての役割を果たすことができます。

特定技能 2 号(保育)のための履修科目について

保育士養成校所定の保育士履修科目より選別し、科目数を減らして履修軽減を図るとともに、保育士養成校に、特定技能 2 号(保育)コースを併設し、履修終了を条件とします。

特定 2 号保育履修科目 (保育士履修科目より選別)

こ ど も 家 庭 福 祉 特 別 支 援 教 育
社 会 福 祉 論 発 達 心 理 学
こ ど も 家 庭 支 援 論 こ ど も と 文 化
こ ど も の 発 達 と 家 庭 支 援 教 育 課 程 論
健 康 論 保育内容総論
環 境 論 こども の 指 導 法 「 健 康 」
人 間 関 係 論 こどもの指導法「 人間関係」
音 楽 表 現 論 こどもの 指 導 法 「 環 境 」
造 形 表 現 論 こどもの 指 導 法 「言葉 」
こ ど も と 造 形こどもの指導法「リズム表現」
表 現 と こ ど も の 運 動 こどもの指導法「造形表現」
こ ど も と 体 育 こどもの指導法「言語表現」
幼 児 造 形 教 育 方 法 論
言 葉 と こ ど も の 文 化 こどもの理解と相談支援
こ ど も の 保 健 こどもの理解と援 助
こ ど も の 健 康 と 安 全 乳 幼 児 保 育 Ⅰ
子 育 て 支援 乳 幼 児 保 育 Ⅱ
保 育 原 理 社 会 的 養 護 Ⅱ
社 会 的 養 護 Ⅰ 保 育 実 習 指 導 Ⅰ
精 神 保 健 保 育 実 習 指 導 Ⅱ
こ ど も の 食 と 栄 養 保 育 実 習 指 導 Ⅲ
障 害 児 保 育 教 育 実 習
地 域 ボ ラ ン テ ィ ア 保 育 実 習 Ⅰ
教 職 論 保 育 実 習 Ⅱ
教 育 原 理 保 育 実 習 Ⅲ
教 育 心 理 学 保育・教職実践演習(幼稚園)
教 育 学 特 別 研 究

■ 特定技能「保育」の導入・推進に向けた体制整備の必要性

特定技能「保育」を円滑に導入・運用していくためには、教育機関および保育施設の双方において、外国人人材の受け入れ・育成・定着に向けた包括的な体制整備が求められます。以下に、各分野で優先的に取り組むべき整備事項を示します。

1.保育関連学科における体制整備

特定技能「保育」に対応するための保育系教育機関では、外国人留学生の受け入れと学修支援に向けて、以下のような環境整備が求められます。

カリキュラム整備

保育専門用語を含む日本語習得のためのカリキュラム整備

留学生が保育現場で必要とされる日本語を段階的に学べる教育環境の構築。

外国語による授業の実施

授業理解を促進するための外国語対応教材の作成および外国語による授業の実施

留学生が保育現場で必要とされる日本語を段階的に学べる教育環境の構築。

奨学金制度の整備

授業料負担軽減に寄与する奨学金制度の整備

留学生を対象とした学費支援制度の拡充。

単位互換制度の導入

外国大学・高校との単位互換制度の導入および提携拡大

海外教育機関と連携し、スムーズな編入・進学ルートを確保。

多言語対応

学内掲示物の多言語対応(日本語+英語など)

校内サイン・掲示物の多言語表記による生活支援の充実。

教職員のスキル向上

教職員の語学研修および対応力の向上

国際対応に向けた学内各部署の職員の語学力育成。

2.保育事業者における体制整備

現場においても、外国人保育人材がスムーズに実習・就労し、定着していくための具体的な受け入れ体制の整備が求められます。

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の体制整備

外国人人材の実習受け入れおよび就労時の OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の体制整備

現場での指導の質を確保するためのマニュアルの作成および指導者育成の推進。

教育プログラムの導入

園職員の語学力向上に向けた教育プログラムの導入

日本人職員が円滑に外国人スタッフと協働できるよう、基礎的な外国語(例:英語・中国語など)の研修を実施。

保護者理解の促進

外国人保育士による保育内容の説明および保護者理解の促進

外国人スタッフが主体となって行う保護者説明会や保護者会の開催による信頼関係の構築。

多言語対応

園内掲示物・連絡物の多言語表示

外国人保護者やスタッフへの配慮として、 日常的な掲示・連絡事項の多言語化を推進。

これらの体制整備を通じて、外国人保育人材の受け入れが一過性の対処にとどまらず、 持続可能な人材育成・定着の仕組みとして保育現場に根付いていくことが期待されます。

■ 特定技能「保育」導入・定着のために必要な行政支援について

特定技能「保育」を現場に定着させ、制度として円滑に運用していくには、教育機関・保育事業者の双方に対する資金的・制度的な行政支援が不可欠です。以下に、主に求められる支援内容を分野別に整理致します。

1.保育関連学科(教育機関)への支援

外国人留学生の受入れおよび育成を担う保育関連学科・教育機関に対しては、以下のような支援が必要です。

制作費用の補助

外国語教材の制作費用の補助

保育専門用語や授業内容を外国語で提供する教材の開発費支援。

採用および研修費用の補助

外国語による授業を行う教員の採用および研修費用の補助

バイリンガル教育体制を整えるための人材確保・育成支援。

ホームページ多言語化費用の補助

大学・専門学校等のホームページ多言語化費用の補助

留学生募集や案内の多言語化を通じた国際対応強化。

印刷物多言語化費用の補助

学内掲示物・資料の多言語化費用の補助

キャンパス内での生活支援・情報提供の多言語化推進。

施設整備費用の補助

保育日本語研修施設の整備費用の補助

保育現場で必要な日本語を体系的に学べる専用施設の整備支援。

開発・作成費用の補助

保育日本語教材の開発・作成費用の補助

現場に即した日本語教育教材の制作支援。

採用費用の補助

保育日本語講習担当教員の採用費用の補助

日本語教育に対応できる専門人材の確保支援。

2.保育事業者(園施設)への支援

保育施設側の受け入れ体制強化および外国人材の活用促進に向け、以下の支援策が求められます。

マニュアル作成費用の補助

外国人人材の実習受け入れ・就労時の OJT 実施にかかるマニュアル作成費用の補助

現場教育の質確保のための標準化された指導資料の整備支援。

OJT 指導者の採用・雇用費用の補助

OJT 指導者の採用・雇用費用の補助

実地指導を行う保育士の人件費支援。

教育プログラム整備費用の補助

園職員の語学力向上に向けた教育プログラム整備費用の補助

多文化環境下での円滑な連携を実現するための語学研修支援。

多言語対応

園内掲示物・案内資料の多言語制作費用の補助

外国籍保護者・スタッフへの配慮と情報共有促進のための支援。

補助職員の採用費用の補助

国人保育士および補助職員の採用費用の補助

採用コストの一部を公的に支援することで事業者の負担を軽減。

3.制度的支援

現場の実情に即した運用を可能とするため、制度面における以下の見直し・拡充が求められます。

保育士職階制度の確立

保育士職階制度の確立

1 級・2 級・認定保育士等の職階制度を導入し、明確なキャリアパスと処遇の差別化を図る。

加算金制度の拡充

加算金制度の拡充

外国人保育人材や保育補助者に対する配置・採用を促進するため、既存の加算制度の対象拡大および支給額の引き上げ。

保育士配置基準の柔軟化

保育士配置基準の柔軟化(特定技能 2 号保育者の「みなし保育士」としての明確化・活用促進)

外国人保育人材が配置基準に算入されるよう明文化し、施設側の採用判断を容易にする措置の導入。

これらの支援を通じて、特定技能「保育」が一過性の制度にとどまらず、中長期的な保育人材確保と多文化共生の実現に資する制度として根付いていくことが期待されます。

■ 当協議会が果たす役割について

当協議会は、特定技能「保育」の制度創設および運用において、制度設計・環境整備・関係機関との連携調整を担う中核組織として、以下のような役割を果たします。

1. 特定技能「保育」職種追加に向けた活動

制度提案内容のとりまとめ

制度提案内容のとりまとめ

保育現場、教育機関、行政等の関係者からの意見を集約し、実効性ある制度設計を行います。

陳情・請願活動

政府への職種追加の陳情・請願活動

関係省庁への制度創設に関する正式な要望提出および政策的働きかけを行います。

調整と連携構築

業界全体における体制作りの調整と連携構築

教育現場・保育現場・地域社会が一体となって外国人材を受け入れ・育成・定着させるための仕組みづくりを推進します。


2. 保育関連学科における体制作りの調整

教育機関における外国人学生の受入れ体制整備に向け、以下の点について共通化・標準化の調整を行います。

  • 共通採用可能な外国語教材の開発・提供
  • 外国語による講義担当教員向けの指導内容の共通化(外国人学生向けの保育学習指導要領の策定を含む)
  • 学内掲示物や資料の外国語表記内容の共通化
  • 外国大学・高校との単位互換を見据えた科目表記(外国語表記)の統一化
  • 保育日本語教材の共通採用および内容の標準化
  • 保育日本語教育の指導要領作成と内容共通化(外国人学生向け日本語教育カリキュラムの整備)

3. 保育施設における体制作りの調整

保育現場での受け入れ・育成体制強化に向けて、以下の内容を中心に運用マニュアルや教材・仕組みの共通化を進めます。

  • 海外における外国人材募集活動
  • 外国人人材の実習受け入れに関するマニュアルの共通化
  • 就労時の OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)内容の共通化
  • 園職員の英語力向上に向けた教材および資格制度の標準化
  • 外国人保育士・保育補助者が地域理解・地域協力につながる活動に参加するための企画支援・実施支援

4.幼保分野の日本語習得の機会提供

幼児保育の表現、言葉使いは、社会で使用する日本語とは異なることもあり、また、幼児語の習得も求められることが多く、TOEIC や日本語能力検定にむけた学習では習得できないため、幼児保育に特化した日本語表現を習得する必要があります。このため、一般社団法人語学検定協会と連携して、幼保日本語検定を実施して、習得の機会を提供します。


保育分野人材就労制度の関係機関のイメージと一般社団法人幼保分野人材協議会の位置づけ

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